デザイン現場ではパソコン操作の技術より情報を読み解く力が必要
将来の転職のため、仕事帰りにデザインスクールへ通うサラリーマンやOL。その会社帰りにデザインスクールへ通えば、デザインの現場で即戦力になれるのか?
結論から言えば、デザインソフトの操作に困ることはなくなるだろう。しかし、実務でしか学べない事の方が圧倒的に多く、スクールへ通うだけで即戦力のデザイナーとして働くのは難しい。最初は先輩デザイナーのもとで仕事を覚えることから始まり、いきなり仕事を任せられることはないと思う。
デザインスクールは専門学校と違い、カリキュラムや授業時間も短いため、アルバイトなどで実際の現場を体験したほうが近道かもしれない。
短期間のパソコンスクールでは十分な知識が得られない
数十年前、Web関係のパソコンスクールを数カ月間受講した経験がある。週に数回のペースで半年程度のコースだった。授業の内容は、市販の書籍でも学べそうな基本だけを教わって修了した。コースの種類にもよるが、実務での作業を学べる場所ではないと感じた。
自らの経験を話せば、パソコンに少し触れた程度で製版会社にアルバイトで飛び込み、独学でパソコン操作を覚えた。デザインの技術は先輩デザイナーを見て学びながら、様々な経験を積んで現在に至った。他人に教えてもらうことよりも、自らの頭で考えて知識を増やす事が重要だと感じている。
現在では、スクールの数も増えて実務的なコースも用意されているかも知れない。しかし、初心者歓迎のデザイン事務所や印刷会社などを探し、多少のリスクを感じても実務経験を積むことは必要だ。
必要なのはパソコンの操作力より問題を考えて解決する力
会社勤めの頃、アルバイトの採用面接で経験者や専門学校卒業生を数人面接した経験がある。ポートフォリオを覗くと、そのほとんどがソフトを駆使したキャラクターや立体デザインの作品で驚いた。学校で学んだソフトの知識を最大限に生かしたのだろうが、印刷物を作成するために必要な技術ではない。
デザイナーは、常に依頼者の意図を汲み取りデザインに反映させる。そのデザインで消費者の行動に直接影響を与えるための、問題解決力や考える力が求められる。ソフトを扱う技術の高さは評価できる。しかし、実務で必要となるデザイン力は、物事を読み解く力や考えて答えを出す力であり、ソフトを操作する技術力ではない。
現場経験はパソコンスクールでの学びだけでは補えない
結論として、現場で即戦力として働くためには、ソフトの操作を学ぶだけでは不十分である。それは、要素を画面上に美しく並べる作業がデザインではなく、集めた情報を咀嚼して吐き出してまとめることが、デザインの作業上で最も大切だからである。パソコンスクールへ通うのであれば、同時に実務経験を積むほうが理解や成長も早く、良い仕事につながる気がする。