ネット経由の仕事はポータルサイトがすべてを飲み込み、個人からの直接依頼はゼロに
2020年を最後に、個人や会社からネット経由で直接デザインの仕事を依頼されることがなくなった。自ら外に出て営業活動をするフリーランスデザイナーもいれば、ネットを中心に営業するデザイナーもいる。2020年以前は、個人で開業した接骨院や習い事関係、小規模事業を中心に必ずデザインの依頼があった。しかし、現在では不要な営業メールが毎日のように届くのみである。やり方が悪いのでは?違う可能性を考えれば?意見は様々あるだろうが、人には必ず得手不得手が存在し、何が正しいか判断することは難しい。ただ、「仕事を得る」という目的が達成できれば、その方法が正解なのだろう。
では、なぜこれほどまで極端に問い合わせがなくなったのか?考えてみると、そこにはフリーランスデザイナーの働き方を大きく変える原因が存在していた。従来のようにSEO対策などしても、今後はネット経由の仕事依頼は望めそうもない。
利便性のみ追求したGoogleの過剰な検索結果表示がフリーランスの働き方に悪影響を与えた
大きな原因の一つはGoogle検索にある。
調べたいことがあればGoogle検索を利用することが定着し、現在はGoogleがネット検索を独占している。2018年頃までの検索結果画面には、デザイン会社やデザイン事務所、フリーランスデザイナーなど、満遍なくWebサイトが表示されていた。大した資本がなくても、しっかり内容を作り込みSEO対策されたサイトであれば表示されていたのだ。その頃は、現状のようなポータルサイトやデザイン業務斡旋サイトは表示されていなかった。検索ユーザーは表示結果上位から順に内容を調べるため、上位表示されたフリーランスデザイナーにも等しく依頼されるチャンスがあった。
しかし、Googleの度重なる独自アルゴリズムの変更により、いつの頃からか資本のある企業が運用するポータルサイトが画面を独占するようになった。
検索ユーザーにとって役に立つWebサイトを上位表示させる。Googleの思惑である。確かに、ポータルサイトはデザイナーを一括検索できるため、検索ユーザーにとって利便性は高い。しかし、瞬く間に小規模事業社が運用するサイトは表示されなくなり、規模関係なく事業者すべてに等しく与えられた権利は失われた。フリーランスデザイナーが生き残りたいなら、ポータルや紹介サイトに登録して仕事をもらう働き方に変えなさい、そう言われているように感じる。
実力や規模の差ではなく資本の差ではフリーランスデザイナーに勝ち目などない
フリーランスデザイナーでも頑張れば大手企業に勝てる、訳が無い。検索結果の順位表示には金銭的な影響がないというが、詭弁である。結局、質の高いサイト作成や様々な対策、運用には高い技術力が必要で、その技術がなければ費用を支払うことになる。
ポータルサイトを運営する会社は、当然フリーランスや個人事業主ではない。一定の社員数や規模がある企業が運営している。宣伝広告費も十分確保できるため、Webサイトの運用をはじめSEO対策やネット広告なども専門業者へ依頼しているだろう。ユーザーが検索しそうな関連キーワードを網羅的に上位表示させれば、我々フリーランスデザイナーが立ち入る隙などない。つまり、ネットを中心に活動するフリーランスデザイナーは、ポータルサイトやデザインエージェント、BtoBマッチングサイトなどを利用しなければ、今後は仕事にありつけそうもない。結果的に、それら企業に無駄な利用手数料という名目で支払いが発生する。大手企業の儲けを手伝う存在というのも、非常に腹立たしいことである。
デザインの大手ポータルなどへの登録がフリーランスデザイナーの新たな働き方に
ネット上には、その他にも集客や仕事を得る方法があることは調べて知っている。しかし、それらがすべての業界や立場の人間に当てはまるとは限らない。フリーランスと言えど、様々な性格や立場の人間が存在するのだから。結局、資本もなく、知名度もなく、宣伝広告費も十分に掛けられないフリーランスデザイナーが仕事を得るためには、抗わず長いものに巻かれながら生きる方が良さそうだ。資本のある大企業だけが優遇されより大きく成長する現状は、社会の縮図と言える。
フリーランスデザイナーとして独立しても、誰もが儲けられるわけではない。確実な技術力や才能、高いコミュニケーション能力や広い人脈、確固たる自信があれば問題ない。しかし、それでも仕事や生活面で安定が保証されてはいない。平穏で安定した生活を望むなら、むやみに独立などせず会社勤めの方が無難かも知れない。