Works
作品集
不合格者数を強調して学生に危機意識を持たせる学習塾のチラシ
デザインの概要と考え方
合格者数ではなく不合格者数を強調した学習塾の生徒募集チラシ。伝えたいのは「現実」。
少子化とはいえ、全国では毎年数多くの受験生が入学試験を受験しています。合格して喜ぶ生徒の裏には、それを上回る多くの不合格者が存在することを意味しています。
一般的な学習塾のチラシは「高い合格者数」や「優秀な講師陣」など、ポジティブな内容のデザインが一般的です。おそらく、長年の経験で得た知恵であり、集客にもつながりやすいのだと思います。
通常の学習塾のチラシは、笑顔の女生徒が背筋を伸ばして手を挙げる写真や、ノートを取る学生に講師が指さして指導している写真をよく目にします。また、合格者数◯人などと誇らしげに人数を列挙しているデザインも。
「都立高校不合格者数11,003人」という不合格者数の現実を突きつけ、頭を抱えて悩む学生の写真で追い打ちをかける、逆説的な学習塾のチラシ。これだけ見てもかなり衝撃的です。まさに、一般化された学習塾の広告に一石を投じるデザインだと思います。
「合格者ではなく不合格者数を大きく取り上げて広告を作りたい」
これまでにはない発想で学習塾のチラシを依頼され、内容に驚きました。塾に通って合格した人数を誇るのではなく、受験生全体における不合格者数を示すことで、危機感を感じてもらう狙いがあるのでしょう。この思いつきは、常に教育環境に身を置き、子どもたちを見てきている塾講師だからこその発想だと感じました。このチラシを手にした学生や父兄が、少しでも「より勉強をしなければ!」と危機感を感じてもらえれば、狙い通りと言えます。
◎依頼された経緯や目的は? 他の学習塾と差別化のために不合格者数を目立たせてチラシを作りたいと依頼されました。主に、ポスティングや受付などに設置するということです。
◎最もこだわったポイントとは? インパクトのある都立高校の不合格者数の数字と、頭を抱えて悩む男子学生の写真を利用して、入学試験における現実の厳しさを強調してデザインしました。